学校生活の様子・ブログ

全ては社会と繋がっている

 3年生にとっては部活動最後の大会である総体が県大会まで終わりました。関東大会に出場する男子バレーボール部、卓球男子個人、水泳個人の生徒の皆さんは、栃木県の代表として自分たちの力を十分に発揮できるよう頑張ってください。チーム南犬飼、みんなで応援しています。そして引退を迎えた3年生、本当にお疲れ様でした。

 本校は主体的な生徒会活動を学校運営の核として成長しています。ここ4年間は生徒会スローガンを「心」に決め、心ある生徒を目指して活動しています。それは、自分たちの学校を生徒自身が好きになれるように、地域から愛される学校になるために、そして生徒一人一人が充実した学校生活を送るためには、自分たちの心を大事にし、心ある生徒を目指していかなくてはならないと生徒自身が考えたからです。

 そして、どんなことをしていくことが心の成長になるのかを考え、様々な情報を集めました。集めた情報の中から、「学校行事を自分たちの想いが込められたものにしよう」と生徒の意見を行事計画の中に取り入れることにしました。特に、コロナ禍での学校行事は困難が多くありましたが、生徒自身が打開策を教員とともに考え、実施してきました。今年度の運動会は練習から全ての運営を生徒主体で行い、生徒の想いが込められた行事の象徴となりました。

 また、「学校をもっと過ごしやすいものにしよう」、そして生徒自身の「自分たちで決めたルールをしっかりと守ろう」という想いから、「生活の心得」の改定を進めています。改定初年度は、今まであったルールを一掃し、生徒自身がルールの価値を見つめ直す中で、1つずつ決めていきました。

 総体の大会を見ながら、生徒の言葉が思い出されました。それは、チームの上手くいかないところを、独り言のように言っていた言葉です。大会を見に行くと、その上手くいかないと言っていたところが見事に改善されていました。きっと、自分たちのチームの課題を把握し、上手くいくようにするためにはどうすれば良いか情報を集め、その中から自分たちに必要な練習をし、大会の場に立ったのでしょう。

 これからの社会は「VUCA時代」と言われています。Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取ったものです。つまり、今ある価値観やビジネスモデルなどが通用しない時代のことです。そして、このような時代を、社会の大きな変化の中で、たくましく生きるためには、さまざまな人と協働しながら探究心をもち、自律的に、主体的な姿勢で学び続け、変化に対応する力をつけていくことが大切になると考えられます。

 高校では「総合的な探究の時間」が2018年告示の学習指導要領で設けられました。これまでの学校での学びは、知識の量と問題の意図を汲み取り、より早く解答を導き出すことに重点が置かれていました。しかし今、インターネットを利用すれば、瞬時に多くの情報を手にすることができます。そしてその知識量は人間とは比べることができない膨大なものです。これからの学校で重視されるのが、取得した知識を「活用」し、「探究」することです。「探究」は欠かすことのできない学びの姿となります。中学校では総合的な学習の時間がこれまで探究活動の時間となっていましたが、その時間の質の向上と同時に、各教科でも「探究学習」が進められています。

 先に述べた、生徒会活動も、部活動も、まさに探究活動が実践されています。「探究」は、①課題の設定→②情報の収集→③整理・分析→④まとめ・表現のサイクルの繰り返しで学びが深まっていきます。部活動の上手くいかないところが課題の設定であり、どうすれば上手くできるようになるのか情報を集め、自分たちに必要な練習をし、大会で表現したわけです。

 これは社会でも同様のことがなされています。例えば、①「観光収入を拡大するためにはどうすれば良いか」という課題があるとします。②情報の収集では、観光資源や観光客の情報を集めます。③観光資源を年代などのターゲットごとに整理し、分析をもとにどのような広報をすれば良いか考え、企画にしていきます。④実際の企画として実行してきます。そして、企画を実施するなかで改善が必要なところが見つかったり、困難な部分が見つかったりし、新たな課題が見つかることで仕事の質が深まっていきます。①~④のサイクルの繰り返しの中で仕事は回っていくのです。大人が行っている仕事は生徒の皆さんの学び方と同じ、まさに探究活動なのです。もちろん中学校教員も毎日が探究活動の繰り返しです。

 夏休み、興味や関心があること、疑問に思っていることなどについて探究してみると面白いと思います。探究学習は人生を豊かにするものです。なぜなら、自ら学ぶということが楽しくなるからです。そして将来の仕事に直結する学びの姿だからです。

 学校生活の全てが社会と繋がっています。日常にある探究を楽しみながら生活していきましょう!